これdo台 Hi-Speed PRO(KD25/35HSPRO)はすぐアップデートした方がいい

不具合が発生し、壊れかけたHDDからのデータ救出に役立つのが、デュプリケータのこれdo台 Hi-Speed PRO。

当店でも活躍していましたが、先日の案件で不具合のあるHDDのデータを上手くクローンできませんでした。

そこで販売元サイトを見てみると、プログラムのアップデートがあるのを発見。

アップデート内容は機能の追加ということで、あまり期待はしていなかったのですが、アップデート後は見事にクローン化が成功!

このアップデートはおすすめです。


おちゃらけたユニークな名前のパソコン関連製品を数々取り扱っているCentury社の「これdo台 Hi-Speed PRO」(KD25/35HSPRO)。

この製品はデュプリケータと呼ばれる、HDDクローン作成マシンの一種です。HDDの情報の完全消去機能もあります。
PROとついているので、一応プロ用なのです。
確かに、一般のユーザーがあまり必要とする類のものではありません。HDDをクローンする機器なら数千円で幾らでもあります。

ではどの辺が「プロ」なのかというと、不良セクタをスキップする機能が付いている、ということが大きいのでしょう。
不良セクタが発生したHDDは、普通のクローン機器を使ってもエラーが出て止まってしまうモノが多いのです。
不良セクタを飛ばして読み込んでくれるコピーしてくれるマシンは、正常なデータだけを健康なHDDにコピーできる、非常に重宝するツールです。
まあ、GNU ddrescueあたりを使ってもいいのかもしれませんが、やはり専用機は信頼性と作業速度の面で安心感があります。
このマシンも内部でやってることは恐らくあまり変わらないと思うんですが。

さて、今回お預かりしたNECのWindows7ノートパソコンでは起動不良の症状が出ており、最初はスタートアップ修復で改善したのですが、使っているうちにどんどんと動作が重く、不安定になってゆきました。

そこでHDDを取り外してこれdo台でディスクチェックしてみると、大量の不良セクタがあることが判明。物理障害気味の状態であることがわかりました。

そこで3.5インチHDDへのクローン作成を試みたのですが、途中で止まってしまいどうにもうまくいきません。

3種類あるコピーシステムの全て、すなわち「システム&ファイル」「パーティション」「HDD全体」をすべて試してみたのですが、25%前後で進捗しなくなってしまいます。(大量の不良セクタがある部分で読み飛ばしができていないのか、あるいは大きく時間がかかっている?)動作がそのものが止まっているわけではないので、数日動かせば進む可能性もあるかもしれませんが、さすがにそういうわけにも行きません。

この時腑に落ちなかったのは、このHDDは不良セクタこそ大量にあるものの、windowsはどうにか起動するしUSB変換アダプタを通して中身を見ることもできる、という点です。

この程度の状態のモノを専用機がコピー出来ない、というのではプロ仕様の名が泣きます。

なのでこれdo台そのものに問題があるのではないか?と考え、公式サイトをチェックしてみると、ファームウェアの更新があることがわかったのです。

http://www.century.co.jp/support/download/kd2535hspro-update.html

2015/07/22
機能追加
Ver.2.35.4
・HPA(HDDの容量クリップ情報)に関する設定項目の追加。

・いままでの不具合修正を含みます。

メインとなる更新内容はHDDのHPAクリップ機能の追加というもので、これはこれでかなり大きな機能追加です。
そもそもこの手の同価格帯の製品で、アップデートによって大幅に機能を追加するというのは異例なことに思えます。普通は不具合修正に終止するものです。 発売から時間がたった製品でも、より良くしていこうというこの姿勢には好感が持てますね。
アップデートにはフォーマットされたHDDが必要ですが、このような製品を買う人ならば部屋の隅っことか本棚の端とかにHDDの2つや3つ転がっていることは疑いようがありませんので、大したハードルではないでしょう。
しかし、旧ファームウェアで特に不具合がありそれが今回修正されたという記述はありません。(いままでの不具合修正を含むとは、旧ファームウェアで行われた修正を包括しているという意味でしょう)
そのためあまり期待せずに入れてみたのですが、結果として非常にうまくクローンを作成してくれました。

また、ファームウェアアップデート後はマスターHDDの挙動が変わったようです。

今まではコピー作業中は普通にマスターHDDにアクセスしっぱなしだったのですが、適当なタイミングでスピンダウンが入ります。
HDDの温度や動作状況、エラー状況などを見てスピンダウンさせているのかもしれません。しかし、度重なるクローン作業でHDDそのものの方でスピンダウンが起こっているのかもしれず、断定はできません。

実際、その後クローン化した健康な3.5インチHDDからSSDへのクローンでは、スピンダウンは見られませんでした。


今回行った作業をまとめますと、以下の様なものです。

1.不良セクタがあり正常に動作しない750GBの東芝製2.5インチHDDのクローンを、「これdo台 Hi-Speed PRO」で1TBの3.5インチHDDに作成する。この時コピーエリアは「HDD全体」を指定。

Cドライブが600GBほど、Dドライブが80GBほどで、残りは回復領域などでした。Cドライブの使用領域は60GB程度ですので、だいぶ余っていました。Dドライブにはほとんどデータはありませんでした。

2.クローン化した3.5インチHDDにchkdsk /fをかけ、ファイルシステムの修復を行う。

すごい量の不良セクタと修正がありましたが、無事に完了しました。


3.クローン化した3.5インチHDDのパーティションを変更して、128GBのSSDに入るようにする。

Windows純正のパーティション管理機能では、Windowsがインストールされているパーティションの調整には制限があります。
なので、パーティション管理の専用ソフトを使って領域を調整していきます。
クライアントと相談の上、Cドライブを90GBにし、Dドライブは削除しました。


4.パーティションを調整した3.5インチHDDのクローンを、「これdo台 Hi-Speed PRO」で128GBのSSDに作成する。

このクローン化は「オールパーティションコピー」で行いました。コピーする量が少なくSSDへの転送なので、数十分で終了しました。


5.SSDをノートパソコンに装着し、起動を確認する。

以上一連の流れで理屈ではうまくいくはずなのですが、思い通りにならないのが世の常です。
緊張しながら電源を入れ、起動を確認すると…


やりました!無事起動し、軽快に動作します。Pentium搭載のWindows7マシンでしたが、SSD化の恩恵はやはり凄いですね。
レスポンスが断然違います。

その後動作チェックとWindows Updateをかけ、不具合の修正をして、作業完了。丁寧にクリーニングをしての引き渡しとなりました。


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